大石田駅から北西約10kmの山間地、次年子地区。ここに、今から500万~300万年前の新第三紀層後期の地層で、鮭川層と呼ばれる土があります。地球のミネラルともいわれる自然素材、モンモリロナイト結晶を多く含むことから、水や油などの有機物を包み込み、地下水を極めて通しにくいという不思議な土。それが大石田粘土です。
この太古の土と出会った窯主に、創作への新しい情熱が湧きあがりました。これまで培ってきた縄文の野焼きのような大胆さと、信楽焼伝統の繊細な釉使いが、一つにつながったのです。信楽焼の窯元で苦労して身につけたのは陶器浴槽の技術。その腕を生かすために探していたのが、水の浸透性が少なく、かつ豊富な量の土でした。そして、山形県の豪雪地帯ならではの豊かでのびやかな自然環境と、作陶に適したさざまな条件にも恵まれました。
ヒトがモノをつくり始めたころの素朴なよろこびを、だれもが感じてほしい。
次年子窯は、自然とともに、豊かに楽しく生きていくための器をつくっています。
風呂好きな日本人の何よりの歓待を示す、これ以上の言葉はあるでしょうか。身体を洗うというだけではなく、お湯につかる時間や空間を楽しむ、豊かな文化と感性。バスタイムの楽しみ方が広がり、浴室に求められる要素も多様になってきました。浴室は、機能を満たす場所から人をもてなす空間になってきたともいえます。また、陶土の成分からは遠赤外線が放射され、陶器の浴槽は血行を促進するといわれています。
「水まわり」と呼ばれる台所・浴室・洗濯場は、長い間住まいの付属部分と見なされてきました。近年はライフスタイルの欧米化、家事合理化の動きから、キッチンのシステム化や浴室の多機能化が急速にすすみ、今や生活の中心的な存在となってきました。
暮らしの楽しみ方が広がり、オーダーメイドのキッチンシンクなどは、デザインが自由にできて高級感があることから陶器製に注目が集まっています。